記事コンテンツ画像

世界の茶包装市場動向:環境配慮材・機能性パッケージの採用が加速

主要市場インサイト(茶包装市場)

Fortune Business Insightsによると世界の茶包装市場規模は2024年に59億9,000万米ドルと評価され、2025年には62億8,000万米ドル、2032年には89億4,000万米ドルに達すると予測されています。予測期間中(2025〜2032年)のCAGRは5.17%です。2024年はアジア太平洋地域が40.73%のシェアで市場を支配しました。

茶は世界で最も古いノンアルコール飲料の一つであり、包装は茶の鮮度・香り・風味を保持する上で重要な役割を果たします。高品質包装への需要、環境配慮型素材の採用、ECの普及が市場成長を牽引しています。また、米国の茶包装市場は健康志向の高まりにより2032年に10億9,000万米ドルへ拡大すると期待されています。

COVID-19は茶生産国の操業停止や貿易制限を引き起こし、茶包装市場の成長を一時的に鈍化させました。

日本市場インサイト

日本のティー包装市場では、鮮度保持のためのバリア性向上、高級茶需要の増加、エコ素材への移行、輸出拡大に伴う国際規格対応が進んでいます。小分け包装や利便性の高い形状が支持され、デジタル印刷によるブランド訴求も強化されています。

市場概要

  • 2024年市場規模:59.9億米ドル
  • 2025年市場規模:62.8億米ドル
  • 2032年市場規模:89.4億米ドル
  • CAGR(2025〜2032):5.17%
  • 2024年地域シェア:アジア太平洋 40.73%

地域別インサイト

  • アジア太平洋:中国・インド・インドネシアが牽引する最大市場
  • 欧州:一人当たり茶消費量が高く、環境配慮型包装の需要が強い
  • 北米:健康志向と持続可能包装の採用増が成長要因
  • 中東・アフリカ:ケニア・モロッコなど主要生産国の影響で成長
  • ラテンアメリカ:安定的な茶消費により着実に成長

市場動向

天然茶・フレーバーティー需要の拡大

メーカーによる天然・有機・プレミアム茶へのシフトが進み、香り・品質・視覚的魅力を向上させる包装需要が増加しています。特に緑茶、ハーブティー、フルーツティーは健康効果を背景に欧州で人気が高く、高級志向の製品と革新的デザインが市場の特徴となっています。

市場の成長要因

単回用(シングルサーブ)包装の需要増加

ティーバッグは最も一般的な茶包装であり、オフィス・レストラン・交通機関などでの利用増加が市場拡大に寄与。生分解性ティーバッグの普及により環境負荷低減と健康への懸念解消が進み、市場成長をさらに後押ししています。

茶の健康効果による消費増加

ポリフェノール・フラバン-3-オールなどの抗酸化成分により、茶は生活習慣病リスク低減・免疫向上に寄与するとされ、健康志向の高まりが市場を拡大しています。

抑制要因

茶包装におけるプラスチック使用の問題

多くのティーバッグはナイロンやプラスチックを含み、抽出時にマイクロプラスチックを放出する可能性があります。これが健康・環境問題として注目され、プラスチックベース包装の需要を抑制しています。

セグメント分析

  • 素材別
  • 紙・板紙(最大):生分解性・リサイクル性が高く、ティーバッグ使用増で成長
  • プラスチック(第2位):優れたバリア性を持つが、環境・健康リスクが課題
  • 金属、その他
  • タイプ別
  • 再生可能包装(最大):持続可能性の高まりにより採用増
  • 非再生包装:高い剛性と長寿命のため一定の需要
  • 包装タイプ別
  • 一次包装(最大):鮮度保持・情報伝達・購買意欲向上に寄与
  • 二次包装:物流・輸送用として需要拡大
  • 製品タイプ別
  • 袋(最大):耐久性・コスト効率・リサイクル性が高い
  • パウチ(第2位):EC向け販売増加で需要拡大
  • スティックパック、瓶・容器、箱・カートン、その他

サンプルPDFはこちら:https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/問い合わせ/リクエスト-サンプル-pdf/お茶の包装市場-109703

地域別分析

アジア太平洋(最大市場)

インド・中国・インドネシアなどでの高い生産・消費量が市場を牽引。2024年市場規模は24.4億米ドル

欧州

環境配慮包装とティーバッグ需要が成長を支える。

北米

主要企業の存在と健康志向の高まりにより堅調に成長。

中東・アフリカ

ケニア・モロッコなどの高い茶生産量と輸出増が市場を促進。

ラテンアメリカ

茶の消費量増加により安定成長。

主要企業

  • Amcor plc(スイス)
  • Berry Global(米国)
  • Sealed Air(米国)
  • Printpack(米国)
  • ProAmpac(米国)
  • Constantia Flexibles(オーストリア)
  • ePac Flexible Packaging(米国)
  • Swiss Pack(英国)
  • Huhtamaki(フィンランド)
  • Transcontinental Inc.(カナダ)
  • NIKITA Containers(インド)
  • SKS Bottle & Packaging(米国)
  • Packman Industries(インド)
  • SIG(米国)
  • SP Group Packaging(スペイン)

業界動向

  • 2023年9月:三菱ケミカル、「BioPBS」採用の堆肥化可能パウチをEN TEAに提供
  • 2021年3月:高級茶ブランドDorset Tea、PLA素材の持続可能ティーバッグを発売
  • 2020年1月:Numi Organic Tea、植物由来の茶葉包装紙を発表
  • 2019年4月:Crown Holdings、高級茶向け変形缶を発売
  • 2019年1月:Transcontinental、Harney & Sonsと100%リサイクル可能パウチを開発

この記事をシェア