主要市場インサイト(シーフード加工装置市場)
Fortune Business Insightsによると世界の水産物加工機器(シーフード加工装置)市場規模は2024年に24億9000万米ドルと評価され、2025年には25億8000万米ドル、2032年には38億米ドルへ成長すると予測されています。予測期間中(2025〜2032年)のCAGRは5.7%です。
水産物加工機器は、魚類、甲殻類、軟体動物、頭足類などの水産物を対象とし、洗浄、内臓除去、鱗取り、フィレ加工、脱皮、乾燥、冷凍、缶詰、包装など処理の各工程を自動化・効率化する機械です。食品安全と精度向上の要請から、世界的に需要が拡大しています。
日本市場インサイト
日本では高まる衛生基準と自動化ニーズを背景に、精密加工・省エネルギー・持続可能性を同時に実現する先端技術の導入需要が急増。人口減少と人手不足対応が進む中、高度加工機器は日本企業のグローバル展開における重要投資分野となっています。
市場概要
- 2024年市場規模:24.9 億 USD
- 2025年市場規模:25.8 億 USD
- 2032年市場規模:38 億 USD
- CAGR(2025–2032):5.7%
- 地域別最大市場:アジア太平洋(養殖生産・消費拡大)
- 設備タイプの最大カテゴリ:フィレ加工装置
- 水産物タイプの最大カテゴリ:魚(最大加工量)
業界動向
- 付加価値シーフード需要増によりフィレ加工機が急拡大
- 自動化・養殖拡大により内臓除去・鱗剥ぎ装置が高成長
- 自動フィレライン・パッケージングの導入が普及
- 衛生設計(ステンレス構造)が標準化し新機種の主流に
主な成長要因
- 養殖業・小売・コールドチェーン拡大による設備需要の増加
- 自動化による廃棄物削減・効率化・衛生向上
- 食品安全規制・認証要件の厳格化で高級機器の需要が増加
- アジア太平洋地域でのインフラ拡大による需要急増
国際的な水産物流通が拡大し、健康志向による魚介類消費増加が続く中、市場成長は加速しています。SeafoodSourceによれば、2024〜2032年に世界の水産物貿易量は5%増加する見込みです。
COVID-19の影響
パンデミック時は操業停止・労働力不足・物流遅延の影響で市場は縮小したものの、感染症対策強化と衛生基準の高度化により、加工装置の自動化ニーズはむしろ増加。需要回復を大きく後押ししました。
技術が市場に与える影響
- 自動化システム導入により精度・速度・衛生が大幅向上
- 再生可能エネルギー利用(太陽光乾燥機など)が拡大
- IoT/AI/ML統合によるスマート加工(例:MarelのCrown Jewel機)
市場動向(トレンド)
IoT・AI搭載加工機の増加、持続可能な水利用・省エネ技術、スマートフィレラインの拡大が顕著。 例:2023年5月 MarelがIoT対応フィレマシン「Crown Jewel」を発売。
市場成長の推進要因
世界的な魚介類消費拡大(健康志向・所得上昇)により、フィレ機・脱皮機・包装機の需要が急増。 例:インドの純可処分所得は2023年に前年比8.4%増(Trading Economics)。
市場の制約要因
- 高度機器の初期投資が高額(1万〜50万 USD)
- 中小企業の設備導入遅れ
- インフラ整備コストの上昇
市場機会
- アジア・ラテンアメリカ・アフリカの需要急増
- 政府投資・補助金の強化(例:インド政府23.9億USD投資)
- 自動化・省エネ型装置の需要増
セグメント分析
- 設備タイプ別
- フィレ加工装置(最大):2024年シェア25%
- 内臓・鱗取り装置:最高成長率を記録
- 切断・皮むき・乾燥:分割・即食製品の増加で成長
- 包装装置:便利食品需要で着実に増加
- その他:粉砕機・特殊洗浄装置(衛生規制強化で成長)
- 動作方式別
- 自動式(最大):2025年シェア66%
- 半自動式:低コストで中小企業に浸透
- 手動式:衛生・品質管理強化で需要増
- 水産物タイプ別
- 魚(最大):2025年シェア46%
- 甲殻類:健康意識で高成長(CAGR 5.5%)
- 軟体動物・頭足類:所得上昇と消費増で拡大
- その他(海藻など):食品・化粧品用途で需要増
サンプルPDFはこちら:https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/問い合わせ/リクエスト-サンプル-pdf/水産加工機械市場-110784
地域別展望
アジア太平洋(最大・最速成長)
2024年市場規模:8.7億 USD 魚介類消費増、都市化、所得増により需要急増。 2025年:インド1億USD、日本1.4億USD、中国3.2億USD。
ヨーロッパ(第2位)
2025年市場規模:7.5億 USD(CAGR 4.9%) ノルウェー・スペイン・フランスが牽引。 世帯当たり水産物支出は2022年に11%増加。
北米(第3位)
2025年市場規模:6.5億 USD 養殖生産増(2023年3.6%増)で需要拡大。 米国市場:2025年4.2億 USD。
中東・アフリカ
GCC市場は2025年5億 USD。魚介類消費増により需要拡大。
南米
2025年市場規模:1.6億 USD。即食水産物の需要増で成長。
主要企業
- JBT Corporation(米国)
- Carsoe Group(デンマーク)
- BAADER(ドイツ)
- CTB Inc(米国)
- Marel(アイスランド)
- GEA Group(ドイツ)
- Buhler Group(スイス)
- Dürr AG(ドイツ)
- Nordic Seafoods(デンマーク)
主な業界動向
- 2024年:BAADER、180/Proフィレマシンを発表
- 2024年:Marel、自動化ソリューションをFish Expoで発表
- 2024年:Carsoe、Froyanes社との提携(カニ加工)
- 2024年:Carsoe、新型V16冷凍機を発売
- 2022年:BAADER、SKAGINN 3X冷凍装置を発表
- 2021年:JBT-Proseal、GTeシーリングシステム発表
レポートの範囲
本レポートは、設備別・運用方式別・水産物タイプ別・地域別の市場規模推定と予測、企業プロファイル、M&A、SWOT、産業トレンド、マクロ・ミクロ分析を網羅します。