主要市場インサイト(バイオテクノロジー成分市場)
Fortune Business Insightsによると世界のバイオテクノロジー成分市場規模は2024年に21億7,000万米ドルと評価され、2025年には23億2,000万米ドル、2032年には391億米ドルへと急成長すると予測されています(2025-2032)。
バイオテクノロジー成分は、発酵・遺伝子工学・細胞培養・酵素合成などの技術により生産され、医薬品、化粧品、食品・飲料、農業など多分野で活用されています。
従来の化学合成とは異なり、バイオテクノロジー成分は持続可能性・品質の一貫性・機能性の高度なカスタマイズが可能です。代表例として、酵素、ペプチド、アミノ酸、ビタミン、プロバイオティクス、API(医薬品有効成分)などがあります。
市場成長は、クリーンラベル志向、健康意識の高まり、製薬分野におけるバイオ医薬品の需要拡大、そして持続可能な製造プロセスへの世界的シフトが背景にあります。COVID-19はワクチンや抗体医薬の需要急増をもたらし、バイオ原料市場に大きな構造変化をもたらしました。
主要企業には、Givaudan、Codex-ing Biotech Ingredients、Covalo、DSM-Firmenich、Abelなどが含まれます。
日本のバイオテック原料市場インサイト
日本では、医薬品・化粧品・食品の開発で「高品質で安定供給可能な原料」への需要が高まり、バイオテクノロジー成分の採用が拡大しています。発酵・細胞培養・酵素反応などによる高い再現性を持つ原料が評価されており、クリーンラベル意識や環境配慮の高まりも市場成長を後押ししています。
市場動向
技術革新が市場成長を強力に後押し
組換えDNA、合成生物学、CRISPRなどの技術進歩により、成分の純度・収率・拡張性が劇的に向上。精密発酵は複雑な分子(ビタミン、香料など)の持続可能な生産を可能にし、AI・機械学習はたんぱく質構造の予測や最適化に導入されています。
市場のダイナミクス
市場ドライバー
① クリーンラベル・持続可能原料への需要増加
健康志向・環境意識・透明性を求める消費者の増加により、バイオベース成分の採用が加速しています。食品では酵素・プロバイオティクス、化粧品では微生物発酵ヒアルロン酸やペプチドが需要を牽引しています。
市場の抑制要因
② 高いR&D・生産コスト
発酵・細胞培養などの高度なプロセスには高額な設備投資と専門知識が必要。医薬品グレード原料は規制も厳しく、承認プロセスがコストと時間を増大させます。
市場機会
③ バイオシミラー・モノクローナル抗体・先端治療による成長機会
高価な生物学的医薬品の特許切れにより、バイオシミラー需要が急増。モノクローナル抗体、細胞・遺伝子治療、CAR-Tなどの成長に伴い、バイオテクノロジー成分の使用量が大幅に増加しています。
市場の課題
④ 国際規制の複雑さ
FDA、EMAなど地域ごとに規制が異なるため、コンプライアンスコストが増大。遺伝子編集・GMOなどのバイオ素材は公共の認知リスクもあり、審査が厳格です。
⑤ 貿易保護主義・地政学リスク
中国依存度の高いAPI調達(80-90%)は、関税・輸出規制・地政学緊張の影響を受けやすく、サプライチェーンの再構築が課題に。
R&Dトレンド
AI × バイオ(AI発酵最適化、AI構造予測)、炭素中立バイオ生産、精密発酵の高度化などにより収率20%改善、コスト削減が進む。
セグメンテーション分析
① ソース別
- 動物ベース(最大):コラーゲン、ゼラチン、ホルモンなど。医薬・化粧品で高需要。
- 植物ベース:抗酸化物質・フラボノイドなど。クリーンラベル志向で成長。
- 微生物ベース:CRISPR・代謝工学進歩で急成長。
② アプリケーション別
- 医薬品(最大):モノクローナル抗体、組換えタンパク質、ワクチンなど。
- 食品・飲料:酵素、プロバイオティクス、機能性タンパク質。
- 化粧品・パーソナルケア:ペプチド、ヒアルロン酸など。
サンプルPDFはこちら:https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/問い合わせ/リクエスト-サンプル-pdf/バイオテクノロジー成分市場-113927
地域別展望
北米
2024年の市場規模は9.8億米ドル。医薬品・化粧品分野の需要増とサステナブル原料ニーズが市場を牽引。
アジア太平洋
最速成長地域。中国・インドのバイオ製造投資、政府支援策が追い風。
ヨーロッパ
合成化学物質規制の厳しさ、持続可能素材への高い需要が成長を促進。
ラテンアメリカ
医薬品製造の拡大、自然派化粧品需要により安定成長。
中東・アフリカ
オーガニック志向の高まりと健康意識の普及により成長が期待。
競争環境
市場は新興企業と大手企業が混在し、製造能力拡大や国際展開、M&Aが活発です。
主要企業
- Givaudan
- Codex-ing Biotech Ingredients
- Covalo
- DSM-Firmenich
- Abel
- Nikko Chemicals(日本)
- Evonik Industries
- Fermenta Biotech
- Titan Biotech
- Conagen
主要業界動向
- 2025年5月:AstorgがSolabia Groupの過半数株式を取得。
- 2025年4月:Amgenが米国バイオ製造施設へ9億ドル投資。
- 2025年3月:Isobionicsが発酵由来の新フレーバー成分2種を発売。
- 2025年1月:DebutがAI配合ツール「BeautyORB」を発表。
- 2024年11月:Cabio × Nourish Ingredientsが提携しTastilux生産へ。
- 2024年2月:Evonikが新ビーガンコラーゲン「Vecollage Fortify L」を発売。