主要市場インサイト(自己輸血デバイス市場)
Fortune Business Insightsによるとグローバルな自己輸血デバイス市場規模は2024年に3億9,970万米ドルと評価され、2025年に3億2,960万米ドル、2032年には5億1,690万米ドルに達すると予測されています。予測期間中のCAGRは6.6%です。2024年は北米が49.69%のシェアを占め、市場を支配しました。
自己輸血(Autotransfusion)は、外科的処置中に患者自身の血液を回収し再輸血する技術で、輸血リスクを大幅に軽減します。セルセーバー(Cell Saver)として知られ、心血管・整形外科・神経外科・産婦人科など幅広い手術で使用されています。
市場概要
市場規模と予測
- 2024年市場規模:399.7百万米ドル
- 2025年市場規模:329.6百万米ドル
- 2032年市場規模:516.9百万米ドル
- CAGR(2025–2032):6.6%
市場占有率
- 北米(49.69%):外科手術件数の増加、高度医療インフラ、確立された自己輸血ガイドラインが成長を牽引。
- 製品別:消耗品・アクセサリーが最大シェア(手術件数増加と交換頻度の高さ)。
主要国ハイライト
- 米国:手術件数と臓器移植の増加により採用が加速。
- ヨーロッパ:外科的処置増加と認知向上により成長。
- 中国:病院数・地域医療機関増加により需要拡大。
- 日本:先進的血液管理技術の普及が採用を後押し。
市場のダイナミクス
市場推進要因
- 外科的処置の増加(心血管・整形外科・神経外科など)
- 同種輸血(他人の血液)に伴う感染・アレルギーリスクの回避ニーズ
- 高齢化による慢性疾患増加 → 手術件数増 → 自己輸血需要の拡大
- 臓器移植件数の増加(移植手術での血液確保ニーズ)
AJRR 2023 によると、米国の股関節・膝関節手術件数は320万件に達し、細胞回収(cell salvage)の利用も拡大しています。
市場抑制要因
- 低侵襲手術の増加により失血量が減少 → 自己輸血の必要性低下
- 高コストなシステム導入が新興国での普及を阻む
- 汚染部位手術では感染リスクがあり適用が制限
市場機会
- 世界的な血液供給不足が自己輸血の戦略的重要性を高める
- 発展途上国における医療インフラ改善により採用余地拡大
- 医療従事者の教育強化により高い市場浸透率が期待
市場課題
- 製品・運用コストが高く、中小規模医療機関では導入が困難
- 非適応手術が多い環境では普及スピードが遅い
サンプルPDFはこちら:https://www.fortunebusinessinsights.com/jp/問い合わせ/リクエスト-サンプル-pdf/自己輸血装置市場-101899
市場動向
① 技術の進歩
- 2022年:I-SEP Autotransfusion DeviceがCE承認(赤血球+血小板を同時回収可能)
② スマート監視システムとの統合
- 2023年:Haemonetics Cell Saver Elite+ が「Intelligent Control」ソフトウェアでFDA承認
COVID-19の影響
パンデミック中は elective surgery(予定手術)が大幅に減少し、市場は一時的に縮小しました。
- 米国CABG手術が2020年に36%減少
- LivaNovaは心肺分野で売上11.5%減
しかし、2021年以降は手術件数が回復し、市場は再成長局面にあります。
セグメント分析
製品タイプ別
- 消耗品・アクセサリー(最大):手術件数増加・交換需要により拡大。
- 自動輸血システム:術中・術後・デュアルモードが存在。
アプリケーション別
- 心血管手術(最大):CABG・心臓移植・バルブ手術で利用率が非常に高い。
- 整形外科:手術件数増加によりシェア2位。
- 神経外科:認知向上により緩やかに成長。
- 産婦人科:帝王切開増加が採用を後押し。
エンドユーザー別
- 病院(最大):心血管・整形外科・産婦人科手術の集中。
- 専門クリニック:術中・術後自己輸血技術の普及で成長。
地域別インサイト
北米
- 2024年市場規模:153.9百万米ドル
- 高い手術件数+高度医療インフラが支配力を維持
- HRSA 2023:臓器移植 46,632件(前年比 +8.7%)
ヨーロッパ
英国・ドイツ・フランスで手術件数が増加。認知向上により採用が加速。
アジア太平洋
病院数の急増と医療アクセス向上により最速成長地域に。
その他地域
ブラジル、サウジアラビア、UAEで手術件数増 → 医療施設で採用拡大。
主要企業一覧
- LivaNova PLC
- Haemonetics Corporation
- Fresenius SE & Co. KGaA
- Medtronic
- Becton Dickinson (BD)
- Beijing Jingjing Medical Equipment Co., Ltd.
- Procell Surgical Inc.
業界の主な開発
- 2024:Procell SurgicalがISO 13485認証およびCEマーク取得
- 2023:Haemonetics Cell Saver Elite+ がFDA 510(k) クリアランス取得
- 2020:Procellがスポンジ血液回収装置を発売
- 2019:HaemoneticsがSafetrace TXを北米で導入
レポート範囲
本レポートは、市場規模、成長要因、課題、商機、競争環境、地域分析、主要企業プロファイル、COVID-19影響を詳細に分析しています。