市場概要
世界のデータストレージ市場規模は、2024年に2兆1,833億米ドルと評価され、2025年には2兆5,529億米ドル、さらに2032年までに7兆7,400億米ドルに達すると予測されています。これにより、2024年から2032年の予測期間中の年平均成長率(CAGR)は17.2%となります。
北米地域は2023年時点で7,898億米ドルの市場価値を占めており、世界市場をリードしています。
また、米国のデータストレージ市場は今後も大幅な成長が見込まれ、2032年までに2兆2,681億米ドルに達する見込みです。これは、ビッグデータ量の急増と、それに伴うストレージソリューション需要の拡大が主因となっています。
主な市場プレイヤー
- Dell Technologies
- Hewlett Packard Enterprise (HPE)
- NetApp
- IBM Corporation
- Western Digital Corporation
- Seagate Technology
- Hitachi Vantara
- Pure Storage
- Huawei Technologies Co., Ltd.
- Amazon Web Services (AWS)
- Microsoft Corporation
- Google Cloud Platform (GCP)
市場成長の主な推進要因(ドライバー)
- IoT、AI、ビッグデータの爆発的成長
大量の構造化・非構造化データ生成により、高速・大容量ストレージの需要が増加。 - クラウドストレージの採用拡大
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に伴い、柔軟でスケーラブルなクラウドソリューションへの移行が進行中。 - エッジコンピューティングとの連携
リアルタイム処理に対応した分散ストレージシステムへの関心が高まっている。 - ストレージコストの低下と容量単価の改善
HDDやSSDの技術革新により、コストパフォーマンスが向上し、導入が加速。
市場の課題(制約要因)
- データセキュリティとプライバシー懸念
サイバー攻撃の高度化に伴い、ストレージデバイスの安全性確保が喫緊の課題に。 - 電力消費・温室効果ガス排出の増加
データセンター運用による環境負荷が問題視されており、グリーンストレージ技術への転換が求められている。 - オンプレミスからクラウドへの移行によるレガシー課題
旧式インフラからの移行にかかるコストや技術的課題が一部の企業の足かせに。
市場機会
- オブジェクトストレージやソフトウェア定義ストレージ(SDS)の台頭
新たなデータ構造への対応により、多様な業界ニーズに応えるソリューションが登場。 - 5GとエッジAIの導入加速
低遅延・高速通信環境下でのストレージソリューションの高度化。 - ヘルスケア、金融、製造など業種別需要の多様化
規制対応や大量データ処理が求められる業界において、専用ストレージの需要が増加。 - データガバナンス強化に伴う高機能ストレージの採用
データ保持期間、アクセス制御、監査対応などへの適応が必須化。
地域別インサイト
- 北米
AWS、Microsoft、Googleなどクラウド大手の存在が市場を牽引。法規制とクラウド化のバランスが特徴。 - 欧州
GDPRに準拠したデータ保持とプライバシー保護が重視され、セキュアストレージへの投資が拡大。 - アジア太平洋
スマートシティ化やIoT普及が進む中、データ増加に伴い中国、インド、日本でのストレージ需要が急増。 - 中東・アフリカ
政府主導のICT戦略やデジタルインフラ整備が、今後のストレージ市場成長を後押し。 - 中南米
通信インフラの改善とともに、ハイブリッドクラウド型ストレージ導入が進行中。
セグメント別市場構成
- ストレージタイプ別
- ハードディスクドライブ(HDD)
- ソリッドステートドライブ(SSD)
- テープストレージ
- オブジェクトストレージ
- 導入方式別
- オンプレミス
- クラウド(IaaS, SaaS, PaaS)
- ハイブリッド
- エンドユーザー別
- BFSI(銀行・金融・保険)
- IT・通信
- 医療・ライフサイエンス
- 製造業
- 教育機関
- 小売・eコマース
- 公共機関・政府
結論
世界のデータストレージ市場は、デジタル社会の中核インフラとして急速に拡大しています。クラウド化、ビッグデータ処理、AIとの連携が進む中、単なる保管から**「価値を生むストレージ」**への進化が求められています。今後はセキュリティ、柔軟性、スケーラビリティを兼ね備えたソリューションが市場での差別化要素となるでしょう。