世界のクラウドストレージ市場概要
世界のクラウドストレージ市場規模は、2024年に1,320億3,000万米ドルと評価され、2025年には1,612億8,000万米ドルに達し、2032年には6,394億米ドルに成長すると予測されています。予測期間(2025年~2032年)の年平均成長率(CAGR)は21.7%と見込まれています。
この成長は、デジタルトランスフォーメーションの加速、リモートワークの定着、ビッグデータやAIの活用増加、災害復旧のニーズに起因しています。
北米は2024年に46.66%のシェアで市場を支配しており、米国は特に大きな成長が予測されており、2032年には4,776億8,000万米ドルに達すると推定されています。
主な市場プレイヤー
- Amazon Web Services (AWS)
- Microsoft Corporation (Azure)
- Google LLC (Google Cloud)
- IBM Corporation
- Oracle Corporation
- Dell Technologies Inc.
- Dropbox, Inc.
- Box, Inc.
- Huawei Technologies Co., Ltd.
- Tencent Cloud
市場の成長要因(ドライバー)
- デジタルトランスフォーメーションの拡大
あらゆる業界でクラウドファースト戦略が進み、従来のオンプレミスからクラウドへの移行が急加速。 - ビッグデータおよびAI対応のストレージ需要
大量かつ高速なデータ処理ニーズの高まりにより、スケーラブルなクラウドストレージが不可欠。 - 分散チーム・リモートワークの普及
アクセス性とコラボレーション強化を目的に、クラウドベースのファイル共有・保存の需要が増大。 - 災害復旧とバックアップ戦略の高度化
事業継続計画(BCP)の観点から、クラウドストレージによるバックアップと復旧機能のニーズが上昇。
市場の抑制要因(制約)
- セキュリティ・プライバシーへの懸念
データ漏洩や不正アクセスなど、クラウド上でのデータ保護に関する懸念が依然として存在。 - コストの予測難易度と隠れコスト
容量やアクセス頻度により従量課金されるため、長期的なコスト管理が複雑化。 - データガバナンスと規制遵守の課題
各国のデータローカリゼーション法やGDPRへの対応が求められ、導入の障壁となることも。 - ベンダーロックインリスク
一度導入したプロバイダーから他社へ移行する際のコストや技術的制約。
市場機会
- エッジストレージとの統合による高速化
5GとIoTの拡大により、エッジクラウドと連携したストレージソリューションが求められている。 - AIベースのストレージ最適化
データアクセスパターン分析やストレージ効率の自動化によるコスト削減と性能向上。 - 中小企業のクラウド導入支援
低コスト・高可用性のクラウドストレージサービスを活用するSMB(中小企業)が増加中。 - グリーンIT対応とサステナビリティ重視の需要
環境負荷の少ないクラウドデータセンターへの移行ニーズの高まり。
地域別インサイト
- 北米(2024年に46.66%のシェア)
成熟したクラウドエコシステムとITインフラにより、クラウドストレージの導入率が非常に高い。米国ではデータ主権とセキュリティの取り組みも強化されている。 - 欧州
GDPRへの準拠やハイブリッドクラウド戦略がクラウドストレージの需要を後押し。特にドイツ、フランス、英国が主導。 - アジア太平洋
中国、日本、インドを中心に急成長。モバイルアプリ、eコマース、教育の分野で需要が加速。 - 中東・アフリカ・中南米
新興国でのスマートフォン普及とクラウド導入支援政策が市場を牽引。
主な市場セグメント
- コンポーネント別
- ストレージタイプ(ブロック、ファイル、オブジェクト)
- サービス(ストレージ提供、管理、データ保護)
- 導入タイプ別
- パブリッククラウド
- プライベートクラウド
- ハイブリッドクラウド
- エンドユーザー別
- IT・通信
- 金融サービス
- 医療・ライフサイエンス
- 小売・Eコマース
- 製造業
- 教育機関・政府機関
結論
クラウドストレージ市場は、今後も爆発的な成長を続けると見込まれており、企業のITインフラ戦略において不可欠な要素です。セキュリティとガバナンスへの配慮を前提に、柔軟かつスケーラブルなストレージ環境の構築が競争優位性のカギとなるでしょう。